スマートフォンの普及などにより、SNSを活用してコミュニケーションを活性化している若者たち。彼ら彼女らは、そうして広がっていき多様化していく友人たちとどのように付き合っているのか。
<調査対象>
以下のソーシャルメディアを利用している1都3県在住の20-34歳男女 N=616
※mixi、twitter、Facebook、mobage、GREE、ブログ、2chなどの掲示板、Youtubeやニコ動などの動画配信サイト
まずは友人を「学生時代からの友人」「社会人からの友人」「会社や職場の同僚」「ネット上だけの友人」に分類し、それぞれに対して自分のどの部分を見せることができるのかを調査してみました。
当然のことながら、現実に顔を合わせて知っている友人と「ネット上だけの友人」とでは大きく異なる結果となりました。さらに細かく見ると、現実に顔を合わせている友人の間でも、「学生時代からの友人」に対してが最も公開許容度が高く、付き合った時間や利害関係によって、同じ友人でもコミュニケーションの使い分けがされていることが分かりました。
次からは、この4種類の“友人”に対して、どのようにコミュニケーションを使い分けているのか、もう少しくわしく見ていきたいと思います。
findings 1
「会社や職場の同僚」や「ネット上だけの友人」に対しては自分をどう見せるかを強く意識する。
グラフ2は友だちに対して自分をどう見せているかを表しています。そして、10項目中7項目で、「会社や職場の同僚」と「ネット上だけの友人」がトップ2を占めており、特にこの2種類の友人に対して、自分をどう見せるかを意識してコントロールしていることが分かりました。「会社や職場の同僚」には“デキる”ように見せながらも“謙虚さ”も大事にしており、「ネット上だけの友人」には“虚勢”を張る傾向があるようです。
おもしろい点としては二点。ひとつは、決していいイメージだけではなく、「実際の自分より小さく見せる」とか「庶民的に見せる」などの一見マイナスと思われるような見せ方も意識していました。出る杭を嫌う日本人ならではの意識なのかもしれません。そしてふたつ目は、「ネット上の友人」よりも「会社や職場の同僚」に対しての方がイメージを気にしている点です。職場だとひとつの評判がいろいろな側面で影響することや、ネットのようにアカウントを削除すればリセットできるようなものでないことからも、慎重に自分の見せ方をコントロールしていると思われます。
findings 2
自分のイメージを意識する相手に対してほど、慎重かつ丁寧な接し方をする。
findings 1に見られたようなイメージをつくり維持するために、それぞれの友人に対してどのような態度でどのような内容の会話がなされているかを見てみました。まずは、友人に対してどのような態度で接しているかを見てみることにします。
グラフ2で自分のイメージを強く意識していた「会社や職場の同僚」や「ネット上だけの友人」に対しては、丁寧で慎重な態度で接し、あまりイメージを意識しない「学生時代からの友人」や「社会人からの友人」にはラフでノリのいい態度で接していることが分かりました。ただし、「ネット上だけの友人」に対しては、ノリのいい態度やフランクな態度で接している場合も多く、ネット上でのコミュニケーションは誤解を招いたり炎上したりするリスクから慎重になる一方、主に匿名による気楽さ気軽さを感じる場合も多いものと思われます。
findings3
友人相手によって話の内容も使い分ける若者。女性の方が使い分けの傾向が強い。
次にそれぞれの友人に対してどのような内容の会話をしているのかを見てみました(グラフ4左側)。友人の種類によって会話の内容は分かれていて、相手に応じて会話のネタを使い分けていることが分かります。たとえば、「学生時代からの友人」には過去や恋愛などの極めてプライベートな話、「ネット上の友人」とは趣味や好みに関する、恋愛などとは異なる私的な話、「会社や職場の同僚」とは仕事や社会情勢などのお堅い話、といった具合に。
ちなみに、男女で分けて見てみると(グラフ4右側)、ほとんどの内容で女性の方が話す相手によるバラつきが大きいことが分かりました。これは女性の方が、会話の内容を相手によって使い分けていることを示しており、女性の方が自分のイメージを友だちによって使い分けているようです。女性同士のコミュニケーションにおけるデリケートな一面が表れています。
<まとめ>
SNSのひろがりなどで、友人とのつながりの場も多くなっている若者は、コミュニケーションの取り方が巧みに見えます。しかしそこでは、彼ら彼女らなりの自分イメージやポジショニングを意識した使い分けが行われていました。マーケティングにおけるクチコミやSNSの活用が注目されることは多いですが、メディアや相手に対する若者の“意識の違い”をきちんと把握しなければいけないようです。
(研究員:岡田)